学位論文

ポケット内のスマートフォンを利用した両足ジェスチャに関する研究

Abstract

2019 年現在,目の前の電子機器を操作する状況では,主に手による操作と声による操作 が考えられる.しかし,手が汚れておりデバイスに触りたくない状況や,赤子を抱っこして いる状況などの手がふさがっている状況では,手による操作は行うことが出来ない.手がふ さがっている状況では,音声認識による操作が考えられるが,音声認識では短時間に何回も 操作が必要な場合には,何度も同じ言葉を発して操作する手間が存在する.そこで Igarashi ら[1]は,同じ操作を一度に何度も必要とする状況で音声に入力を利用可能とするため,タ ンギングと呼ばれる管楽器の演奏で舌を用いる奏法を用いた音声認識によるデバイス操作 手法を提案し,その手間の問題を解決した.しかし,この手法では,電子書籍を読むための 操作などには適していない.そのため,時間をおいてから何度も操作が必要になるような状 況では,何度も音声認識をする手間が残っている. 音声認識と手による操作を行わない手法の一つとして,足による操作を行う研究が様々 行われている.しかし,これまでに行われてきた多くの研究は専用のデバイスを用意する必 要があるため手間が残る.一方で,多くの人が日常的に持ち歩くスマートフォンを用いたジ ェスチャ認識を検討している研究に,Scott らの研究[5]があげられる.その研究では,ポケ ット内のスマートフォンを用いて,スマートフォンを入れた側の足によるジェスチャの認 識精度を検証している.しかし,前ポケットでの認識精度は 60.2%であり,認識精度は高く ない.ここで,スマートフォンは日常において,様々な角度や向きでポケット内に入れられ るため,データセット構築時とは違う角度や向きでポケットに入れられた際には,センサの 軸の向きが変化する.その結果,認識精度に影響が出ることが考えられるが,Scott らの研 究[5]ではその影響を考慮していない.また同研究では,スマートフォンを入れたポケット 側の片足のみによるジェスチャ認識であったが,UI 設計において逆方向に同じ操作をする ことで,逆の操作ができる UI 設計が多く行われている.例えば,電子書籍では画面の左側 をタップすることでページが進み,右側をタップすることでページが戻る UI が実装されて いる.他にも,Web ページを閲覧する際には,上にスクロールをすることでページをさかの ぼり,下にスクロールすることでページを読み進めることができる操作が実装されている. つまり,左足と右足で同じジェスチャをすることで逆の操作が実現できることで,より直感 的な操作が可能になると期待される.また両足によるジェスチャ認識が可能となれば,片足 によるジェスチャよりも表現できるジェスチャ種類の増加が期待される. そのため,我々はポケット内のスマートフォンを利用した両足ジェスチャ認識を実現す るための手法を提案する.そこで,これまでの我々が行った研究[6]では,まず特定の向きに おける両足ジェスチャの認識精度を検証するため,データセット構築を行い,認識精度を算 出した.その結果,両足ジェスチャの認識精度を表す F 値が 0.93 であり,高い認識精度で あった.そこで,そのデータセット構築での結果をもとにプロトタイプシステムを開発し, そのシステムを用いて実験協力者に電子書籍を読んでもらい,システムの評価を行っても らった.しかし,使用実験を通してどのくらいの認識精度と感じたかという体感認識精度に ついてのアンケートでは,期待したほどの認識精度とは感じられていなかった.その要因と しては,これまでの研究で提案した認識手法を用いた際の認識精度がユーザの期待したほ どの認識精度ではなかったことがあげられる.他の要因としては,認識までにかかる時間の 遅さがあげられる.実際,使用実験を通して,システムが両足ジェスチャを認識するまでに かかる時間がどうだったかについてアンケートで回答してもらったところ,8 人中 7 人の実 験協力者が,システムが両足ジェスチャを認識するまでにかかる時間を遅いと感じている. つまり,認識までにかかる時間の遅さを認識精度の悪さと感じていたと考えられる.そこで, 本研究では認識精度をより高めるために,特徴ベクトルや分類器を再検討し,認識手法を改 善する.そして,認識時間の短縮においては,システム応答時間の限界時間以内に認識を行 うため,ジェスチャを開始してからの使用フレーム数の減少を行う.その使用フレーム数の 減少によって認識精度が下がることが考えられるため,ジェスチャを開始する直前のジェ スチャデータを使用することで認識精度の向上を検討する.

Information

Book title

明治大学大学院 先端数理科学研究科 修士論文(工学)

Date of issue

2019/02/01

Citation

田村 柾優紀.ポケット内のスマートフォンを利用した両足ジェスチャに関する研究,明治大学大学院 先端数理科学研究科 修士論文(工学),2019.

Artifacts

Links