Abstract
複数楽器を同時に演奏するドラムにおいて,主要な3楽器の音量バランスが重要である.しかし,聴衆とドラマーで聴こえ方が異なるため自身の音量バランスを把握できず,演奏を録音し確認する方法は時間や手間がかかるという問題があり,個人練習が難しい.我々はこれまで,ドラム正面に設置した単一指向性マイクから演奏を認識し,聴衆が知覚する音量を推定・可視化するシステムを提案および実装してきた.しかし,使用実験の結果,音量バランスの推定精度や結果の可視化方法などに問題があった.そこで本研究では,様々な音量の組み合わせやリズムで作成したドラム音源256パターンに対する音量バランス評価実験を行い,聴衆の知覚する音量バランス推定手法を提案する.また,システムの改善と評価実験の結果,本システムによって音量バランス練習を支援でき,人や状況によって結果の更新頻度を切り替えることで汎用性が高まる可能性が示唆された.