Abstract
基礎計算は数学学習の基盤となるため,符号間違えのようなケアレスミスは早い段階で修正したほうが良い.我々はその支援を目的とし,計算中の数式の特定箇所へハイライトをすることで計算ミスを減らす手法を提案してきた.また,計算においてどのようなハイライト法が効果的であるかを調査するため,5種類のハイライト法を用いて,すでに計算された数式から間違えている箇所を見つけ出す実験を行った.実験の結果,正負の数の計算ではかっこに色付けする手法が優れていることや,文字式の計算では複数のハイライト手法を組み合わせて同時に提示すると混乱を招く可能性が示唆された.しかし,実験では手法を混在させる形で実施したため,その効果を十分に検証できなかった.そこで本研究では,実験協力者ごとに手法を固定しつつ,カリキュラムの都合で数学に触れる機会が減少している人文系の大学生を対象に2種類のハイライト手法を用いた実験を行った.その結果,2種類のハイライト手法間に差は見られず,ハイライトに頼った正誤判定をして正答率が下がってしまう可能性が示唆された.