Abstract
我々が実施した過去の研究において,複数の選択肢の中から選択肢をクリックして選ぶ場合と音声入力で声に出して選ぶ場合とで,選択に偏りが生じた.この原因として我々は,選択肢を選ぶ際の音声入力のしやすさが選択に影響を与えているのではないかと考えた.そこで本研究では「選択肢の表現において,クリック選択に比べ音声選択で選択が誘導されてしまうような副詞的表現が存在する」という仮説を立てた.この仮説を検証するために,ポインティングタスクにおいて自身が選択した項目に注意しながら取り組んでもらう実験を設計した.ここでは選択対象となる注意事項を 5 つ用意し,またその注意事項への副詞的表現として「できるだけ」,「可能な限り」,「やれる範囲で最大限に」の 3 つを用意して組み合わせることで,表現と選択率の関係をクリック選択と音声入力とで比較実験した.実験の結果,クリック選択では3つの副詞的表現に選択の大きな偏りは見られなかったが,音声選択では「やれる範囲で最大限に」という選択肢が選ばれにくくなり,仮説が支持された.また音声選択では右の選択肢が選ばれにくくなることがわかった.さらにパフォーマンスに関しては,クリック選択より音声選択の方が効果的であり,さらに音声選択で「やれる範囲で最大限に」という表現がパフォーマンス向上に効果的である傾向が示唆された.
Artifacts
Information
Book title
情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
Volume
2023-HCI-205
Pages
1-8
Date of issue
2023/11/14
Date of presentation
2023/11/22
ISSN
2188-8760
Citation
重松 龍之介, 大石 琉翔, 中川 由貴, 中村 聡史, 鳥居 武史, 澄川 瑠一, 高尾 英行. 選択肢の表現が音声入力での選択に及ぼす影響, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2023-HCI-205, No.34, pp.1-8, 2023.