Abstract
大学生スポーツ記者は,取材以外にもプレー中の写真撮影やSNSへの速報および写真の投稿も行っており,試合終了から取材開始までに選手への質問を考える時間は限られている.そのため準備が不足し,取材対象が回答しづらい質問をしてしまうという問題がある.これまでに我々は,記者が振り返りたいと感じたシーンを考慮して試合に関する時系列情報を把握可能とする取材支援の手法を提案し,実験により理想的な質問が多く見られた.しかし,選手に直接質問をしておらず質問の妥当性を十分に検証できていなかった.そこで本研究では,実際に質問に対する選手の評価をもとに,提案手法を用いた取材の妥当性を検証した.評価の結果はある程度個人差がみられたものの,点数をもとに考えられた質問や,特定のシーンを取り上げた質問,過去の試合や取材を踏まえた質問などの評価が高かった.一方で,提案手法を用いて詳細に試合を把握できることにより,選手が覚えていない内容についての質問を考えてしまうという課題も明らかになった.