Abstract
ペンで筆記をする際,筆圧には必ず微細な変動が生じる.この変動は筆記対象物の表面特性により異なる特有のパターンを示すが,こうした表面特性と筆圧変動に着目した研究は十分に行われていない.本研究では,この微細な筆圧変動を利用して筆記対象物を識別可能とする手法の実現を目指す.具体的には,一定間隔で溝を設けたシートをディスプレイ上に配置し,筆記時の筆圧変化をもとにシートの識別を行う,既存のディスプレイとデジタルペンのみで実現可能な新しい筆記対象識別手法を提案する.本稿では,まずこの識別機構の精度と実用性を評価するため,溝の幅が 6 種類のパターンからなるシートを作成し,筆圧のピークに基づき判定する手法の精度検証から,適切な溝の幅について検討を行った.その結果,1.0mm と 2.0mm 幅は識別可能であるが,1.0mm と 1.5mm が共存する場合に識別は困難であることなどがわかり,3 種のシートに限定すると精度 0.98,4 種のシートに限定すると精度 0.90 で推定可能であることなどがわかった.
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Book title
情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
Volume
2025-HCI-211
Pages
1-8
Date of issue
2025/01/07
Date of presentation
2025/01/14
ISSN
2188-8760
Citation
瀬崎 夕陽, 関口 祐豊, 中村 聡史. 微細な筆圧変化を用いたシート判別手法の提案, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2025-HCI-211, No.19, pp.1-8, 2025.