Abstract
動物園や水族館では複数の個体が同時に展示されることが多く,来訪者の観察は全体を眺めるにとどまりやすい.特にペンギンは数十羽単位で飼育されることが一般的であり,一部の施設では個体名を付けて一覧掲示を行うなど,個体に着目した観察を促す工夫がなされている.個体識別することがその個体への共感につながることは示されているものの,実際に観察中の個体と掲示情報を結びつけるのは容易ではない.そこで我々はこれまで,腹部模様を描画して個体を検索できるシステムを提案し,その有用性を検証してきた.本研究では,実環境におけるシステムの効果を検証するため,都市型水族館で一般来訪者を対象とした実証実験を実施した.また実験にあたり,新たに個体情報を一覧できる図鑑機能と観察履歴を保存できるアルバム機能を追加した.実験の結果,個体名を用いた会話や模様の違いへの気づき,展示前での滞在時間の増加が確認され,主体的な観察や動物への関心を高める有効性が示唆された.
Information
Book title
第33回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS 2025)
Date of issue
2025/12/03
Date of presentation
2025/12/03
Location
定山渓ビューホテル(北海道)
Citation
中川 由貴, 中村 聡史, 芦刈 治将, 板東 恵理子, 與倉 陵太, 渡邉 果南, 岩永 七海. ペンさく:描いて探すことで深まるペンギン観察手法と水族館来訪者を対象とした実証実験, 第33回インタラクティブシステムとソフトウェアに関するワークショップ(WISS 2025), 2025.