学位論文

ひとの選択を誘導する潜在的なDeceptive patternの検証

Abstract

ユーザを騙し行動を誘導するDeceptive pattern(DP)は,ウェブサイトやモバイルアプリケーションに多く使用されている.これまで,DPの研究は主にグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を対象に行われており,DPの発見や分類,検出,対抗策などに取り組まれてきた.これまで提案されてきた検出手法や対抗策は有用であるものの,GUIにおける既存のDPにしか適用できないという課題がある.また,DPはGUIだけでなく,音声ユーザインタフェース(VUI)にも潜むことが明らかになっているが,VUIにおけるDPについてこれまで十分に検討されておらず,現在のDPに関する規制やデザインガイドラインは,VUIで出現可能性が考えられるDPを考慮できていないという問題がある.そこで本論文では,GUIに潜むDPとなりうるデザインと,VUIにおいて今後出現可能性が考えられる言語障壁を悪用したDPに着目し,その誘導効果を実験により検証した.具体的には,GUIにおける選択肢の時間差表示や,VUIにおいて選択肢を音声提示する際の発話速度の違い,そして発話選択する際の選択肢の発音容易性の違いによって,ユーザの選択行動が誘導されるか検証した.実験の結果,GUIでは選択肢を1つだけ他よりも早く表示した場合にユーザの選択が誘導され,DPとなる可能性が示唆された.またVUIでは,音声の発話速度の操作による選択の誘導はみられなかった一方で,発音容易性の違いはユーザの発話選択を誘導し,DPとなる可能性が示唆された.本論文は,潜在的なDPの誘導効果を検証し,そのようなDPについて早期に検討することの重要性と,多様なユーザを考慮したDP研究の必要性を示した.

Information

Book title

明治大学大学院 先端数理科学研究科 修士(工学)

Date of presentation

2026/02/12

Citation

木下 裕一朗. ひとの選択を誘導する潜在的なDeceptive patternの検証, 明治大学大学院 先端数理科学研究科 修士(工学).