Abstract
筋肉が収縮した状態から伸ばして行うエキセントリックトレーニングでは,適切な動作速度で行うことがトレーニング効果を向上させるうえで重要である.しかし,実際のトレーニングでは筋疲労により無意識のうちに動作が速くなり,トレーニング効果が低下することがある.本研究では,動作速度に応じてリアルタイムに聴覚フィードバックを提供するシステム(SpeedFB)を提案する.具体的には,エキセントリックトレーニングのダンベルカール動作において,SFゲームに着想を得た「チャージ音」を用いて速度を提示するプロトタイプを開発した.本システムの有効性を検証するため,2つの実験を実施した.実験1では,SpeedFBと秒数を読み上げる条件,およびフィードバックなし条件を比較した.その結果,SpeedFBは動作の加速を効果的に抑制し,エキセントリック局面の動作時間を長くする効果を示した.実験2では,SpeedFBと腕の位置に基づくフィードバック(PositionFB)を比較した.その結果,SpeedFBは動作時間のばらつきを抑えた一方,PositionFBは動作速度が遅くなる傾向を示した.以上の結果から,速度に基づくフィードバックは,動作制御の向上と安定したエキセントリックトレーニングの実施に有効であることが明らかになった.また,PositionFBと組み合わせることで,目的に応じたより効果的なフィードバック設計につながる可能性が示された.
Information
Book title
情報処理学会論文誌
Volume
67
Pages
1119-1131
Date of issue
2026/06/15
ISSN
1882-7764
Citation
大石 琉翔, 中村 聡史. エキセントリックトレーニングにおける速度指標および位置指標に基づく聴覚フィードバックの比較, 情報処理学会論文誌, Vol.67, No.6, pp.1119-1131, 2026.