学位論文

コミックにおけるネタバレの影響とネタバレページ推定

Abstract

ネタバレは,忌み嫌われるものとして考えられてきており,ネット上でも様々な議論がされているコンテンツである.しかし,2011 年に Leavitt らが⼩説におけるネタバレが⼩説の⾯⽩さを⾼めることを発表した.この論⽂を境に様々なコンテンツにおけるネタバレの影響が研究されるようになったが,研究者によって,結果に差異が出ている.例えば,Levineや Hassoun は⼩説とコミックにおけるネタバレが⾯⽩さを増加させることを明らかにしているが,Rosenbaum らや Yan らは,⼩説におけるネタバレは⾯⽩さにおいては影響しないことを明らかにしている.この,ネタバレ影響の差異が発⽣する理由として,これまでのネタバレ影響研究が定義したネタバレというものが曖昧であったことが考えられる.Leavittらの研究では,どのようなネタバレを読者に提⽰したのか明記されておらず,適切なネタバレであったのかは定かではない.また,Levine らや Rosenbaum らの提⽰したネタバレも,著者⾃⾝が作成したネタバレであり,読者にとってのネタバレなのか,それがこれまで嫌われてきたネタバレの内容なのかは⾔及されていない.筆者らはこれまでコミックにおけるネタバレの影響を調べるために,ネタバレを実験協⼒者から収集し,分析を⾏った.そして,その集めたネタバレの中から最もネタバレ度合いが⾼いと考えられるような情報を扱うことによって,影響に差異が出ないようなネタバレ影響研究を⾏なってきた.しかし,これまでの著者らの研究では実験協⼒者の数が少なかったり,アンケート項⽬が⾯⽩さのみであったりと問題も多かった.そこで,今回はコミックにおけるネタバレの影響実験を再度⾏うことで,コミックにおけるネタバレの定義を⾏う.実験では,ネタバレされるタイミングを,実験協⼒者の読書進⾏度によって 3 つ⽤意することでネタバレタイミングによる影響の変化を明らかにした.さらに,⾯⽩さ以外にも続きへの興味度合いを様々なタイミングで聞くことによって,多⾯的にネタバレの影響について分析を⾏った.その結果,どのネタバレタイミングにおいても読み切った後の⾯⽩さには影響しなかった.この結果は,Rosenbaumらや Yan らの結果を追従するものであり,コミックにおいても,ネタバレをされても読み切ることによってネタバレされていない場合と同程度の⾯⽩さを獲得できることが明らかになった.しかし,続きへの興味度合いでは,読んでいる場所の直後の内容がネタバレされると値が減少することがわかった.この結果から,読者が読んでいる場所から直近の内容がネタバレされてしまうと,続きへの興味がなくなってしまうことを明らかにした.そこで,著者らはコミックにおけるネタバレとは,「そのコミックの N 話までを読んでいる⼈に対し,N+1 話の中にある提⽰したときに嫌な思いをさせる情報」と定義をし,ネタバレデータセットの再構築を⾏った.その結果,影響研究のために集めたデータセットでは,ストーリー全体のネタバレを選んでもらったため,ストーリーのオチとなる情報がネタバレとして選ばれていたが,明確に定義を設定し集めたデータセットでは,ヒロインの秘密や,犯⼈の動機などのより細かいネタバレが選ばれるようになっており,ネタバレの絶対的な個数も増えていた.ここから,これまでの著者らの実験ではネタバレの個数や情報が少なかったため⾯⽩さの影響が出なかったことが改めて確認できた.また,著者らは今回新たに作成したネタバレデータセットと VISION API で取得した⽂字列データの⽐較を⾏うことで,ネタバレページ推定に関する検討を⾏った.ここから,⽂字⾯積の最⼤値を使うことによって,ある程度のネタバレページの推定が⾏える可能性があることを明らかにした.

Information

Book title

明治大学大学院 先端数理科学研究科 修士(理学)

Date of issue

2019/02/01

Citation

牧 良樹. コミックにおけるネタバレの影響とネタバレページ推定, 明治大学大学院 先端数理科学研究科 修士(理学), 2019.

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