Abstract
正負の数や文字式の計算といった基礎計算は,数学学習の基盤となる.しかしこれらの計算は,算数から数学へ移行する際の概念の違いや計算ルールの覚えが曖昧なことにより計算ミスが絶えない.我々はこの問題に着目し,計算中の数式の特定箇所へハイライトをすることで計算ミスを減らすシステムを提案及び実装してきた.また実験により数学記号へのハイライトが計算間違いを低減することが示唆されたが,どういったハイライトが適切かについて検討が不十分であった.そこで本研究では,計算においてどのようなハイライト手法が効果的であるかを調査するため,6種類のハイライト法を用いて,すでに計算された数式の正誤を判定する実験を行い,適切なハイライト手法について検討を行った.実験の結果,正負の数の計算ではかっこに色付けする手法が優れていることが示唆された.また文字式の計算では,複数のハイライト手法を組み合わせて同時に提示すると混乱を招く可能性が示唆された.