Abstract
文字形状と記憶容易性に関する研究は多数行われており,可読性が低い文字形状が記憶容易性を上げることが明らかになっている.我々は,学習には記憶だけでなく理解も重要であると考え,文字形状と文章理解に注目した実験を行ってきたが,一人の実験協力者に複数の文字形状で問題を提示したことなどから,文字形状が及ぼす影響について明らかにできていなかった.また,読解にどの程度時間をかけているかなどの分析ができていなかった.そこで本研究では,一人の実験協力者に対して提示する文字形状を固定することとし,ゴシック体,明朝体,手書き文字2種類のうち1種類のみを用いた読解問題を,実験のために開発したWebシステム上で実施し,正誤問題に解答してもらった.実験の結果,読みにくい文字形状のものが読解問題の正解率を下降させるという,予想とは逆の結果が得られた.また,問題提示順番を前半と後半に分けた分析から,後半になると文字形状によって平均正解率の変動に違いがあること,平均解答時間が増加することなども明らかになった.
Information
Book title
信学技報
Volume
123
Pages
47-52
Date of issue
2023/09/11
Date of presentation
2023/09/12
Location
人間環境大学松山道後キャンパス
ISSN
2432-6380
Citation
瀬崎 夕陽, 萩原 亜依, 髙野 沙也香, 中村 聡史, 掛 晃幸. 提示する文字形状の違いが読解問題の正答率に及ぼす影響, 信学技報, Vol.123, No.188, HCS2023-65, pp.47-52, 2023.