Abstract
ユーザの意図しない行動を誘導するダークパターンの使用はますます広がっており,これまでにもそうしたダークパターンの検出やダークパターンへの対抗策に関する研究が行われている.しかし,ダークパターンの中には,自然なユーザインタフェースであるかのように振る舞いながら,ユーザを誘導するようなものも存在すると考えられる.そこで我々は,公平に見えて誘導するデザインの 1 つとして,システムの問題や通信遅延によって生じる選択肢表示のズレ(時間差表示)に着目した.選択肢の時間差表示には 2 種類あり,ある選択肢が他よりも早く表示される場合と,他よりも遅く表示される場合がある.本研究では前者を先行表示,後者を遅延表示と呼び,それらの選択誘導効果を検証した.実験の結果,先行表示には選択誘導効果がみられた一方で,遅延表示には選択誘導効果がみられなかった.また,先行・遅延表示の両方において,時間差表示を行う位置や時間差の長さによって選択誘導効果は変化する可能性が示唆された.
Information
Volume
66
Pages
334-342
Date of issue
2025/02/01
Date of presentation
2025/02/01
Citation
木下 裕一朗, 関口 祐豊, 中村 聡史. 選択肢表示のズレが選択行動に及ぼす影響, Vol.66, No.2, pp.334-342, 2025.