研究報告

筆記のブレを利用したデジタルペンの重心の違いによる書き心地推定手法

Abstract

スタイラスペンなどの既存のデジタル筆記具は種類が限られており,個々のユーザの書き心地の好みや身体的特性にあったペンを見つけることは容易ではない.ペンのもつ物理的特性の中でも,「重心」は指先にかかるモーメントを変化させ,筆記の安定性や操作性を左右するため,書き心地を決める重要な要素である.そこで本研究では,ペンの重心に着目し,筆記文字のブレを定量的に評価することで,書き心地の客観的な評価指標を確立することを目的とする.実験では,重心の異なるペンを用いて,4種類の文字を複数回筆記するタスクを実施し,主観評価と手書きのブレの相関を比較した.また,ペンの重心が文字の縦横比に与える影響についても検討した.その結果,参加者全体では強い相関が見られなかったが,特定の属性の参加者や文字において,重心が書き心地や文字の縦横比に影響を与えることが確認された.

Information

Book title

情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)

Volume

2025-HCI-215

Pages

1-8

Date of issue

2025/11/19

Date of presentation

2025/11/27

ISSN

2188-8760

Citation

伊藤 奈々美, 能宗 巧, 瀬崎 夕陽, 関口 祐豊, 中村 聡史, 近藤 葉乃香, 梅澤 侑己, 橋本 忠樹. 筆記のブレを利用したデジタルペンの重心の違いによる書き心地推定手法, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2025-HCI-215, No.34, pp.1-8, 2025.