Abstract
我々はこれまで,ペンギンの腹部の特徴的な斑点模様に着目し,模様を描画しながらペンギンの名前を検索することで観察を支援する手法を提案してきた.しかし,これまでの研究では写真を用いた実験を行っており,実際のペンギンのように動き回ったり,片側や腹部の上半分しか見えなかったりといった観察可能性を十分考慮できていなかった.そこで本研究では水族館でペンギンを観察することを想定したシステムの改良を行い,システムの利用がペンギンの記憶に与える影響を調査した.スマートフォン上でペンギンの斑点を描画して名前を検索するシステムを実装し,水族館での実地実験を行った.実地実験では,本システムを用いて観察した場合と,バンドによる識別システムを用いて観察した場合とを比較し,提案システムの有用性を検証した.その結果,本システムを用いた観察により,個体の特徴や個々のペンギンに対する関心が高まることや,本システムはバンドによる識別と比較してバンドの色や名前自身の記憶容易性に影響を受けづらく,人によって異なるペンギンが記憶に残りやすい可能性が示唆された.
Information
Book title
情報処理学会論文誌
Volume
65
Pages
1842-1853
Date of issue
2024/12/15
Date of presentation
2024/12/15
ISSN
1882-7764
Citation
中川 由貴, 中村 聡史. ペンギンの腹部模様に注目した斑点描画型検索・観察手法とその検証, 情報処理学会論文誌, Vol.65, No.12, pp.1842-1853, 2024.